旅の始まり
「で、なんでこのメンバーなんだよ」
「俺が言いたい」
成田空港国際線
ルフトハンザ航空のカウンターの前で、将と臣はため息をついた。
「兄さん、受付するからパスポート!」
「ほら、スーツケースも。預けるんだから。」
譲と譲子に呼ばれ、将と臣はようやく動いた。
ことの起こりは半月前。
毎度爆弾発言をするのはこの人、のぞむ母。
「婚前旅行、行かない?」
その言葉に、噴出したのは譲子とのぞみ。
真っ赤になった譲に不審そうなのぞむ。
冗談だと解釈した将と臣。
「母さん、訳のわからないこというなよ。」
「あら、せっかく譲ちゃんと旅行できるチャンスなのに。」
ぴっと取り出して見せたのは、ホテルの招待券。
「…は?」
思わず間抜けな声を出したのは、臣。
「この前、ここで新作発表を行ったのよね。
その関係でもらったのよ。」
「ここ…って。」
「6人分あるから、どう?冬のヨーロッパもいいものよ。」
「「ヨーロッパァ!?」」
いっせいに声が上がる。
「今の時期なら、すいているからちょうどいいんじゃない?」
「学校はどうする気だよ。」
のぞむが呆れて言えば、にこにことのぞむ母が語る。
「学問よりも大切な勉強があるでしょう?」
「まあ、俺は構わないが。」
「ふふふー。譲ちゃんたちなら、少しくらいお休みしても、成績に問題はないでしょう?」
「え?あの…」
「今からパスポートを取れば、さ来週くらいの出発でOKね。」
「ちょっとまってください!」
「あら、譲子ちゃんは行きたくないの?」
「そうじゃなくて…」
「大丈夫よ、ご両親にはハネムーンベビーと引き換えに許可を頂いたから。」
「「「出来ませんよっ!!」」」
譲と譲子、のぞみが真っ赤になって叫ぶが、のぞむ母は聞いちゃいない。
「だいたい必要なものは紙に書いてあげるvまずはパスポートを取ってね♪」
こうして、どこまで本気かわからないのぞむ母を初めとするノリの良すぎる両親たちに見送られ、6人は冬のヨーロッパへ旅行することになった。
「頭痛ぇ…」
「頑張れ。」
無責任な将の応援を受け、確実に増えるだろうのぞむのセクハラを、どうしてやろうかと頭を悩ませる臣だった。
文 総 2007.01.28日記 旅の始まり 加筆修正