観光地ですることは



 駅から通りを渡って、緩やかなレンガの坂道を登っていく。
 お姉さんが言ったとおり、道なりのほとんどの店は閉まっていた。

 途中、聖ローレンツ教会に入って見学したりしながら、中央広場へと行く。
 広場からフラウエン教会を正面に見て、お姉さんが呟いた。
「あら、残念。間に合わなかったか。」
「何がですか?」
「あの教会の時計。12時に、大掛かりな仕掛け時計が動くらしいのよねー。」
「ああ、もう1時近いですね。」
 譲子が教会の時計を見て行った。
「ま、仕方ないか。んじゃま、観光旅行らしく、写真でも取りましょ。」
 並んで〜といって、6人を教会を背に並ばせる。

「撮るよ〜。はい、キッスv」

 ちゅ

 お姉さんがパシャとシャッターを切ると同時に、本当にキスした男が一人。

「のぞむっ!」
「言われたとおりにしただけだが?」
 
冷ややかにバトルをはじめる二人を放置して、お姉さんが譲と譲子を呼ぶ。その後ろをのぞみと将がついてくる。
 譲はキスを写真に撮られて、顔が赤い。

「譲ちゃんも、なれてもいいとおもうのにねぇ。」
「そうなんですけど。それでも慣れないのが譲ですから。」
 お姉さんと譲子に言われて、譲の顔が一段と赤くなる。

「さて、あの二人は置いといて。あっちに見えるのが美しの泉。あそこにある金色の輪を願い事しながら3回すと叶うそうだよ。」
 いこっか、と言われて譲子たちは頷くが、譲は二人を気にしている。
「んー、あのまま放置しても邪魔か。臣くん、のぞむくん、さっさとこないとキスするぞ!」
 お姉さんが叫んでも、二人は聞こえていない。
「しょうがないなぁ。」
 ふう、とため息をついてお姉さんが行く。ため息をついたとは思えないような、軽やかな足取りで。

「やかましいわ!」
「てめぇ!」

 拳をぶつけ合った瞬間、柔らかなものをそれぞれ頬に感じて、臣とのぞむはそのまま硬直した。

「お、止まったわね。」
「……………今、何を?」
「宣言どおり、キスした。」
 正確にはスマック。とニコリと笑うお姉さん。
「な!?」
「言ったのに止めないほうが悪いのよ。ほら、さっさと行くわよ。」
 ぽん、と背中をおして、二人を譲たちのほうへ導く。

 戻ると、譲が微妙な顔をしてこちらを見ていた。
「ん?どうかした?」
 じぃっと子犬のように見つめられ、お姉さんがたじろぐ。
「あ〜、えっと…」
 怒っているわけではなさそうだ、と考え込んだ後、お姉さんが譲の額にキスをした。

「Guten Tagこんにちはv 」

 お姉さんに挨拶されて、照れたように微笑む譲を見て、臣とのぞむは非常に複雑な気持ちになった。





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イラスト sava 文 総 
2007.02.15日記 観光地ですることは スマックスマック 加筆修正