臣とお姉さん



 なんだかなぁ…

 臣はちらりと自分にもたれて眠る相手を見た。

 美人、なんだよな。これでも。

 出合った時から、にこにこというよりはにやにやというような笑いを浮かべ、
 きゃあきゃあどころかぎゃあぎゃあと子供のように騒いでいるから分からないが。

 こうしてりゃあ、いい女なんだが…

 別に普段が悪い女とは言わないが。悪ふざけが過ぎるだけで。

 あの譲がなついて、甘えているのだ。
 悪いヤツな訳がない。

 譲は誰にでも優しいし、世話焼きだが、その分、自ら甘えるということは少ない。
 自分やのぞむに対しても、めったに甘えてこないのだから。

 よくよく思えば、昨日も朝もそうだった。

 のどが渇いたから少し待て!と言っては水を買って譲や俺たちに分けて、
 年上を労われ!と叫んでは、疲れた様子の譲子と一緒に休んでみたり。
(年寄りといったら蹴りが来た。)
 トイレいくから付いてきてvなどといって、譲と譲子を連れて行く。
 ガキか…と呆れたものだが、ついでにと教えられたトイレの入り方は助かった。

 子供じみた我侭は、思えばいつも誰かの役に立っていて。

『母さんと同じ臭いがする』

 のぞむ。お前の勘はたぶん正しい。
 こいつはあの人と同じ人種だろう。

 我侭いって甘えているようで、実際は甘やかされているのは自分たちの方で。
 そのくせ大人ぶったり年上ぶったししなくて、同じ目線でいてくれる。
 説教くさいことは何一つ言わないくせに、マジでダメなことは実力行使で止めてくる。

 ああ、そうか。
 きっと見守るって、こういう事なんだろうな。

 すとんと言葉がおちてきて、俺は一人頷いた。

 ポケットのなかのケータイをそっと触る。

 もしかしたら、もうこれは使わずにすむかもな。





written by sou



イラスト sava 文 総 
2007.02.12日記 臣&お姉さん 臣とお姉さん(臣姉?) 加筆修正