見る買う食べる 



 観光二日目。午前中は動物園
「この歳で動物園かよ。」
「この歳だから、動物園よん♪普通のお店はまだ開くまで時間があるからね。時間つぶしもかねてv」
 鳥の放し飼いの多さや、むしろ檻の外のリスと戯れつつ、あちらこちらと回る。
「わぁ、大きなこうもり。」
 建物の看板に巨大なこうもりがあるのをみて言う。
「夜行性の動物のみたいね。」

「わお。イグアナ。譲ちゃんたち、こういうの平気?」
「私は大丈夫ですよ。」

「そこっ!ポニーを威圧するな!」
「見てただけだろ。」
 殺気を飛ばすのぞむをはたくお姉さん。

 一回りしたころには、お昼になっていて、昼食をとってからまた移動。



「はいはい、では本日のメインへv」
「動物園がメインじゃないのかよ。」
「ふふふv 譲ちゃんたちの楽しめるところよん♪」
 こっちこっちと連れて行かれたのは、動物園から地下鉄で二駅移動した、市の中心部。
 その小道の一角にある、小さなお店。
「はい、ここv」
「え…って、あ、マギー?」
「は?」
 譲と譲子は驚いて喜ぶが、男供には訳が分からない。
「スープの素や調味料のメーカーの本店。種類も多いし、中では料理したスープを販売してるから。男の子たちはそこで休んでなさい。」
 店の中を指差しながら、お姉さんが指示をする。
「うわ。すごい。」
「これ、マグヌードルなのかな?」
「こんなのがあるんだ。あ、スープストック。」
「パスタの素…?これはジャガイモを煮込むスープ?」
「ソースの素もある。」
 次々と籠に入れていく二人。
「あ、これ日本で見たこと無い。」
「マッシュポテトの素かな。」
 気付けばすでに籠いっぱい。
「ふふふ。気にせず買いなさい。荷物もちはたっぷりいるんだからv」
「って、俺らのことかよ。」
 お姉さんの言葉に、臣が突っ込む。
「あら、どうせ日本で君達が食べるんでしょ。だったら、いいじゃない。」
 お姉さんがにこりと言えば、そうだけどよ、とぼやいた。





 見て買って使って食べる 



「さて、ここで問題です。」
 マギーで買い物かごに山ほど…それも譲と譲子それぞれ二籠も…買って、満足そうに笑う二人を見ながらお姉さんが言う。
「こっちに行けば、ドイツが誇る文豪ゲーテが暮らしたゲーテハウスとゲーテ博物館がございます。
こちらにすすめば、200年以上の歴史を誇るキッチン用品専門店ローライがございます。
さて、どっちへ進む?」
「「ローライへ。」」
 異口同音で二人の少女がいうものだから、お姉さんはからからと笑い、男達は苦笑する。
「観光より、買い物かよ。」
「だって、珍しいじゃないか!」
「これもある意味観光だと思う。」
 臣が突っ込めば、譲子と譲が口をそろえて反論する。
「ああもう、君達ほんっとに解り易いvv」
 そっくり〜などというので、譲が首をかしげた。
「誰とです?」
「ん?ああ、私の友人。ほら、最初に会ったでしょ。臣くんにケータイ渡した。」
「ああ…」
 あのハリセンの人、と譲が呟くので、お姉さんが爆笑した。
「あははは。あの子は文学も大好きなくせに、キッチン用品を優先させたのよね〜♪」
 たのし〜といいながら皆を先導してお姉さんが歩く。
「ローライの近くにはカウホーフってデパートもあるから。そのまた近くにはカールシュタット…こっちもデパートね。
そこでお土産買っておくといいよ。明日の夕方には帰国でしょ?」
「そうです。」
「今日のうちに大体買っておけば、明日はゆっくりできるから。
あ…でも明日も譲子ちゃんたちが買いそうなとこ行くから、スーツケースのスペースは、空けておいたほうがいいかな?」
 そんな話をしながら付いた先は、小さなビル。
「うわ…これ全部キッチン用品なんですか?」
 譲子がビルを見上げてあっけに取られて言う。
「そうね。ほら、入ろ?」
 促して入れば、一面に当たり前だがキッチン用品とテーブルウェア。
 フライパンなどの調理器具から、お皿などの器。焼き型などいろいろだ。
「ふむ。上のほうが贈答品系なのね。あ、地下もある。こっちは食器…かな?」
 5、6階まであるキッチン用品に唖然としつつ見て回る。
「あ、ティバックートレイだ。かわいいv」
「こういうのって、コッチ独特だよね。日本じゃ見かけない。」
 ティーポットの形をした小さなお皿をみて二人が言う。
「エッグカップもそうだよ。ほら、ゆで卵を置くやつ。スプーン付き。」
「スプーンをつけるんだ。」
「半熟卵にするのかな?」
「可愛いから、ジャムなんかを入れて食卓にだしてもいいわよv」
 お姉さんと譲たちが楽しそうに見ているが、食べるのが主流の男達はどこか置いていかれた感じがする。
 とはいえ、あんなにも楽しそうな顔をみていると、とやかく言う気など失せてしまう。

「…母さんにやられたのか、あいつにやられたのか…」
 のぞむがぼそりと呟く。

『二人が楽しんでいれば、他の4人から不満が上がることはない』

 その通りになったわけで。
 思わずもれた苦笑いは、その場にいた男たちに伝染した。





written by sou



文 総 
2007.02.22-25日記 見る買う食べる  見て買って使って食べる  加筆修正