旅の風景 



 市場を出ると、ぐるりと回って、ハウプトヴァッの広場をひやかして、レーマーの前で写真を取る。
 童話の世界にでてくるような建物は、見ているだけでも面白い。

「さて、そろそろお昼になっちゃうけど、買い忘れ、見忘れはないかな?」

 お姉さんがそれぞれの顔を見る。
 6人は顔を見合わせたり、頷いたりした。
「もう、時間ですか?」
「うん。夕方の飛行機でしょ?2時間前には空港に居たほうがいいから。
 ホテルでご飯食べて用意して…だと、そろそろ動かないとね。」
 返事を聞いて考え込む譲に、お姉さんが不思議そうに言った。

「なに?どこか行きたいところ、あった?」
「いえ…その。」

 おずおずとお姉さんを見上げて、譲が言う。

「一緒に、写真とってないなぁって。」

 上目遣いではにかんで言う譲。
 お姉さんの手が、思わずわきわきと動く。

「お姉さん?」
「はっ!いけない。相手は18歳未満!」

「ってまてこら。何をする気だった!」

 うっかり漏れた、冗談か本気か分からない言葉に、のぞむが突っ込んだ。

「ん?君達の年では見せられない妄想が、暴走しただけよん♪」
「…………」

 無言になる男達をよそに、お姉さんは適当な人を捕まえて、なにやら英語で話しかけた。

「ほい、全員集合!!」
「はいっ!」

 反射的に返事をして集まるのは学生の条件反射だろうか。
 あるいは声に篭った、逆らいがたい気迫だろうか。
 お姉さんに言われて、全員がそれぞれに並ぶ。
 指差す方に顔をむければ、カメラを構えた地元の人。


 カシャ


 シャッターを切る音が何度か響いた。



 ひととおり集合写真を撮ると、フィルムを使い切っちゃおーと言って、今度はお姉さんがカメラを構える。
「ほらほら、どうせなら、いろいろペアで。」
 ヤローとペアはカンベン、と笑いながら、譲と譲子を中心に、それぞれ二人組で写真を撮る。
 将と譲、臣と譲子という、意外になかった組み合わせでも写真を撮り、のぞむと譲子、のぞみと譲も写真を撮った。

「ゆずちゃん、もっとこっちにおいで。」
「はい、先輩。」
 譲とのぞむが写真を撮る番になると、いつもの様に、のぞむが譲を抱き寄せる。
 いつものことなので、深く考えずに、譲はのぞむに寄り添った。

「はい、いい顔して♪」

「ゆずちゃん、こっちむいてv」
「え?」

 ちゅ
 パシャ
               
 シャッターが切られると同時に、のぞむが譲の肩を掴んで抱き寄せ、触れた唇。

「のぞむっ!!」

 次の瞬間、臣のとび蹴りが来て、いつもの攻防戦が始まると、まるでアトラクションでもしているようなにぎやかさ。
 周りの人たちが拍手を送ってしまうほどに。

『あ〜お金はいりませんよ〜。曲芸師ではありませんから。』
 ちゃりんと音がするので、お姉さんが英語で注意していく。

「ああもう、恥ずかしい…」
「兄さん、先輩、もう行きますよ!」
 譲子が赤い顔で頭を抱え、譲が真っ赤になって二人に叫んだ。
 それを笑ってお姉さんが眺め、将とのぞみが呆れたように笑った。
 一騒ぎ済むと、一行は昼食を取るべくホテルへと移動した。





written by sou



イラスト sava  文 総 
2007.03.03日記 旅の風物 加筆修正
07.01.23-24日記 欧米か?記念写真はすべて 追加