青龍学園高等学校、東西合同文化祭。
今年初めての試みに、関係者は力を入れていた。
何故幻かというと、仮刷りがあがった時点で東西高校生徒会長からダメだしをくらったため。

東高生徒会長
「人の妹を勝手に使うな!!」

西高生徒会長
「・・・誰だゆずちゃんのこんなレア写真横流しした奴は・・・(ドス黒オーラ炸裂)」


見本として配られた仮刷りのポスターは、両生徒会長の尽力により、文字通り幻と化したのであった。



written by sava




幻のポスターの行方



西高

「譲さん。」
「麗慶さん。お久しぶりです。」
校内で麗慶に呼び止められ、譲は嬉しそうに駆け寄った。
美人でスタイルがよくて女らしくて仕事もできる才色兼備。その上(譲には)とても優しい。
譲にとって麗慶は理想の女性であり、あこがれの人なのだ。
「今日は譲さんにお詫びをしなければならないことがありまして…。」
「お詫び…ですか?」
不思議そうに首を傾げる譲。
「ええ、せっかく写真を使わせていただいたのに、ポスターがダメになってしまったんです。」
すみませんという麗慶に、譲が苦笑する。
「そんなこと、構いませんよ。やはり私では役者不足だったのでしょう。」
「とんでもない。逆ですよ。あまりに美しかったので、君の熱狂的なファンからのクレームがすごくて、差し止めになったのです。こんなにも可憐な花は誰にも見せられない、と。」
「麗慶さんってば…。そんなこと有り得ませんよ。」
くすくすと笑う譲。
「本当ですよ。現に仮刷りのポスターを奪い合いって、阿鼻叫喚の地獄絵図になっていますから。」
のぞむの黒いオーラで再起不能続出。それでも欲しがる強者というよりは愚者を、のぞむは徹底排除したのだ。
「なんですか?それは。」
冗談ばっかりと笑う譲に、本当なんですけれどと肩をすくめて麗慶が言う。
「今日は部活がないのでしょう?理事長は剣道部の指南で私も時間があいているのです。お礼とお詫びをかねてお茶でもいかがですか?」
「え…と、いいんでしょうか。」
「いいんですよ。私は理事長の秘書ですが、この学校の教師ではないのですから。友人とお茶をしたところで、誰も咎めはしませんよ。」
「あ、ありがとうございます。」
友人と呼ばれて、譲が赤くなる。
「ふふ。譲さんは本当に可愛らしい方ですね。のぞむくんが目を離せないのも分かります。」
「そ…それは、私が頼りないから…」
「そんなことはありませんよ。たおやかで芯の強い、大和撫子というのは譲さんのような女性をいうのでしょうね。」
真っ赤になって首を振る譲に麗慶は優雅に手を差し伸べた。
「さ、行きましょうか。」
「はい。」
譲の手をとり、麗慶はちらりと上を見上げて、口元に笑みを浮かべた。



「………やっぱりお前か!(怒)」
文化祭準備に追われ、生徒会室に隔離されながらも、幻のポスターを全回収したのぞむが窓から麗慶をにらみつけていた。





東高

「…譲子ちゃん…」
可愛いと口の中で呟いて、のぞみがポスターをみつめる。
「おや、のぞみくん。それ、仮刷りですよね。」
「弁慶先生。」
聞かれていた!?とのぞみが赤くなってあせる。そんなのぞみに微笑んで弁慶が言った。
「せっかく綺麗に撮れたのに、両生徒会長からダメ出しを食らってしまいました。残念です。」
「………先生…。」
「ふふ。こんなに可愛らしいポスターなら、皆が興味を持ってくれると思ったんですけれどね。」
にこやかに話す弁慶に、複雑な顔ののぞみ。
「知ってます?その写真。裏ですごい高値がついているそうですよ?」
「そんな!」
「まぁ西の生徒会長が、全回収をしてしまったようですけれどね。」
弁慶の言葉に、ほっとするのぞみ。いくらのぞみでも、自分以外の知らない男が、この写真をもっているのは気分が悪い。
のぞむにいたっては気分が悪いどころでは済まされないが。
「君も、奪われないように…ね。」
にこりとポスターを指差す弁慶。それがポスターのことだけでないのは明白で。
「う………」
「おや。即答できないようでは、情けないですよ。」
微笑んで手厳しいことを言う弁慶に何も言えないのぞみでした。






written by sou

イラスト sava  文 sava & 総 2006.09.27-28日記
幻の文化祭宣伝ポスター、幻のポスターの行方 加筆修正