ポスター製作中
「動くなよ〜、いま口紅塗っちまうから」
「・・・のぞむ君・・・」
「しゃべるなって、チッ、ほらはみ出しちまった」
「・・・だからっ!!」
だんっ!と足を踏み鳴らし立ち上がるのぞみ。
「お前な、ぽっくり履いたままで立ち上がるなよ。180センチ超えるぜ」
「だーかーらーっ、どうしてボクがこんなカッコしなきゃならないのっ!!」
「しょーがねぇだろ。ゆずちゃん達のあんなポスター街中に貼れるかよ」
「だからなんでその代わりがボクで、しかも女装なの!?」
のぞみの叫びは最後はほとんど悲鳴になっていた。
それもそのはず。今ののぞみは黒の着物に赤の襦袢、紫の襟元という粋な格好をさせられておまけに化粧まで施されている。
その艶姿は花魁かと見まごうばかり。(でかいが)
「うるさいな。しょうがないだろ東西高校中でお前が一番の美人なんだから。光栄だろ」
「・・・だったらのぞむ君でもいいはずじゃない。ボク達ほとんど同じ顔なんだから」
「俺の顔は美男なの」
「・・・」
その言葉に、のぞみはますますぶすくれた。
written by sava
「のぞみ、笑えっつてんだろ!」
ぶすくれ顔ののぞみに、のぞむが怒鳴る。
「笑えるわけないだろ。」
「………いいから、笑え。でないと、傷つくのは誰だと思ってんだ。」
のぞむの低い声に、のぞみが顔を上げて、不思議そうにのぞむを見る。
「どういうこと?」
「…お前がモデルになる羽目になったのは?」
「そりゃ、譲子ちゃんたちの…」
そこまで言ってのぞみがはっと気付く。
「ゆず子はまだいい。俺らが無理やり止めたのを理解しているからな。
けど、ゆずちゃんは…。
自分が力不足のせいでお前に迷惑かけたって、今でも落ち込んでんだよ!」
「………………」
「ゆず子だって、お前が嫌々やってると知ったら、悲しむぞ。わかったら、さっさと腹をくくれ。」
のぞむの発言にのぞみが押し黙る。
「だいたい!あの女帝があんな条件だしてこなけりゃ、俺だって、お前をモデルにしたりするかよ!
とばっちりがくるのは、俺だって同じなんだからな!」
「条件…?」
のぞむのとばっちり発言に首を傾げつつ、のぞみが言う。
「ゆずちゃんたちの代わりなら、それに匹敵する美人を使えって言ってきたんだよ。でなきゃ、あの写真を使うってな。」
思い出してもムカツク。
のぞむが悪態をつく。
「お前がぐだぐだ抜かすから、化粧から写真撮影まで俺一人でしてやってるんだろうが。感謝しろ!」
だったら、代わって欲しいと心の中で呟くのぞみだった。
それでも。
君たちが笑ってくれるなら。
この向こう側に君の笑顔があるのなら。
のぞみは立ち上がると顔を上げて、静かに微笑んだ。
「…のぞみくん、綺麗。」
仮刷りのポスターをみて、譲が言う。
「あいつも最初はぶつぶつ言ってたけど、最後はきっちりやりとげたよ。文化祭なんだから、楽しまなきゃな。」
「そっか…。」
譲の顔に、笑みが浮かぶ。
「そ。だから、ゆずちゃんも、気にせず楽しもうね」
「そうですね。」
のぞむが言えば、譲がにこりと微笑んだ。
文化祭当日
「あの…」
「あぁ?」
先ほどから、自分の後姿を見て声を掛けてくる男共を睨み続けるのぞむ。
「ったく、だから嫌だったんだよ。」
『ボク達ほとんど同じ顔なんだから』
「自分ひとり被害にあってると思うなっての。」
文化祭ポスターを見たものが、ポスターの美女に会いたくて文化祭に来て、そっくりなのぞむを見かけて声をかける男共。
のぞむがこの程度の予測ができないわけが無いのにのぞみを起用したのは、麗慶におどされたから。
「先輩、すみません。お店が込んでいて…」
「ゆずちゃんv」
即刻だきつくのぞむ。
「先輩?どうかしたんですか?」
「ん、ちょっと疲れちゃってね。」
「大丈夫ですか?休みましょうか?」
「んー、もうちょっと、こうしててくれる?」
「はい。」
のぞむの具合が悪いと思った譲は、のぞむにされるがまま。
それを良いことに、のぞむはやりたい放題。
臣がやってきて、いつもの名物バトルが始まるまで、後数分。
written by sou
イラスト sava 文 sava & 総 2006.09.28,30日記
そしてとばっちり、微笑むは君がため 他 加筆修正