将臣達の弱点



「・・大丈夫か、将」
「そういうお前こそ顔色が悪いぜ、臣」
文化祭・初日。
のぞむのド派手な生徒会長挨拶終了後も東高生徒会長・有川将臣、西高生徒会副会長・有川将臣は生徒会役員として会場に留まっていた。
「学ランなんて窮屈なもの考えた奴、殴りてぇ・・・」
「ネクタイ考えた奴を叩きのめしてもいいなら協力するぜ」
有川ズのなにより苦手なもの、それは正装。
普段はノーネクタイ、ノーカラー、開襟シャツな彼等だが、さすがに今はそういう格好もできず、静かに苦しんでいた。
「2人とも、静かに!もう少しだからがんばって」
小声で注意してきたのは従兄弟で東高副会長ののぞみ。
彼は普段から学ランの襟を崩さない正統派なのでこういう格好が全く苦痛ではないようだ。
でも2人が苦しんでいるのを見かねてどこからか「祭」の文字の入った派手なウチワを差し出した。
よりによってこんな柄かよ、と思いながらも臣が受けとって、将を扇いでやる。
「大丈夫か。お前も挨拶あるんだろ」
「・・・くそっ、のぞむのやつ、上手いこと逃げやがって」
「ああ。あとでよくシバキ倒しておく」
「兄さん!もうちょっとだから!静かに!」
しーっと人差し指を立てて注意してきたのは将の義妹の譲子。
こちらも普段からきちんと制服を着ているので2人の苦しみが全く分からないようだ。
でもやはり見かねて花柄のハンカチを手渡す。どうやら2人とも脂汗をかき始めているようだった。
よりによって花柄かよ、と思いながらも将が受けとって自分の汗を拭いてから臣に渡す。
臣は嫌な顔をしながらも受けとり自分も汗を拭いた。
「・・・あーあ。もう兄さん達ったら」
「でもこういう時じゃないと将臣君達の正装見れないから、ある意味のぞむ君の女装よりレアだよね・・・」
文化祭初日は見どころ満載であった、と東西高校の生徒達に大好評であった。



written by sava

イラスト & 文 sava   2006.10.03
接着剤とリムーバーの弱点 加筆訂正