ご褒美



「うわ〜〜すごい・・・」
「あ、あの2人。い、いつもあんな感じなんですか?」
西高の生徒会室で固まる東高の生徒会役員達。
それもそのはずで、先程から生徒会長と生徒会役員が人目もはばからずラブシーンを繰り広げているのだ。
「ん?ああ、気にしない気にしない」
「慣れると別に気にならなくなるもんよ〜。あ〜でも今日は特別濃厚だねぇ。ゆずちゃん困ってるよ」
「はあ・・・そんなもんですか・・・」
「東高の2人はあんな事したりはしないの?」
「「しません!!」」
東高の全員がユニゾンで合唱した。
「せめてあの十分の一でも春日副会長に度胸があればいいんですが」
「ああー、それは私達も思った。うちの会長が東高の副会長さんの十分の一でも奥ゆかしければなって」
「そうですよね〜」
「「あの2人足して混ぜて2で割りたいよね」」
東西役員が全員一致でハモった。
「まあ、でも傍若無人じゃなくなったらうちの会長じゃないし」
「ええ、温厚でなかったらうちの副会長でもなくなりますからね」
くすくすと笑いながらも、やっぱり自分のところの会長、副会長が一番だと思う。
ごほん、と咳払いをしてから東高の少年が2人を横目で見ながら言う。
「でも、俺そろそろあの2人を止めた方がいいと思うんですが」
「そお?まだ慣れないかな?」
「いや、そうじゃなくて・・・あれじゃレズに見えます」
「あ〜〜。ほんとだ。せめて着替えてからにしてもらわないとねえ」
「ゆずちゃんに変な噂でも立ったら大変。おーい会長、ちょっとストップ!」

「いつかはうちでもあんな2人を見れる日が来るだろうか・・・」
「・・・無理だと思う」
「春日先輩だし」
「譲子ちゃんだし」
「そうだよなあ」
ああいう2人を見たいような見たくないような、
複雑な心境の東高の生徒会役員達であった。



written by sava


 いつもより長い理由

「会長〜、せめて着替えてから…」
役員が言うが、のぞむは無視して譲に口付ける。
『ご褒美』だからと思っているのか、真っ赤になっていても譲が暴れない。
こんなチャンスは、なかなかない。
恥ずかしがりやな譲は、二人きりの時でさえ、なかなか大人しくされないのだから。
変な噂なんて、握りつぶす自信がある。だいたい、先ほどこの姿で生徒会長の挨拶をしたのだ。
噂になるとしたら、譲と西高の生徒会長、すなわち自分である。
それならば、噂も願ったりだ。
周りのギャラリーを一切無視して二人の世界を作るのぞむ。

「だ、だめだ…。俺たちじゃ…」
「副会長〜早く帰ってきてください〜」
西高の役員が祈りをささげれば、まるで聞こえていたかのようなタイミングでドアが開いた。

ドゴッ

「チッ」
「てめぇ、人が会場の片付け指示してる間に、何やってやがる。」
青筋を立てて臣が言う。先ほどのぞむが居た場所に、こぶしを叩き込んで。
当然、のぞむは譲を抱きかかえてよけたため、のぞむが座っていた椅子にひびが入った。
「ゆずちゃん、ちょっとここに居てねv」
譲の頬にキスして、のぞむが将臣に向き直った。

バシッ「ほんっとうに邪魔だよな。」
ドカッ「やかましいわ!この万年セクハラ男!」
ドォッ「ご褒美をもらって何が悪い!」
ガッ 「てめぇの仕事だろうが!」
ドンッ「余計な仕事だろう!」
バンッ「他の仕事押し付けておいて何ぬかす!」
ガコッ「当然の報酬だ!」
ヒュッ「いちいち譲にくっつくんじゃねぇ!」
ガシッ「やなこった!」

重い破壊音を伴いながら、二人が凄まじいスピードで殴りあい、蹴りあい、罵りあいをしている。
「あ、あの……い…いいんですか?」
東高の役員が真っ青な顔で二人の攻防を見つめる。
「ああ、気にしない気にしない。」
「あれもいつものことだから。」
「備品さえ壊れなきゃ、問題ないよ。」

「そ…んなものですか…?」
幾分顔色が戻った東高の役員たち

「東高の二人は、あんなことしたりしないの?」
「「しません!!」」

ユニゾン再び。東高役員全員が合唱した。

「有川会長なら、春日副会長と譲子ちゃんが並んでいたら、からかいつつも見守りますからね。」
「春日副会長と殴りあう会長なんて、想像できませんよ。」

「春日会長は譲ちゃんにくっつかないときなんてないからなぁ。」
「それを温かく見守る有川副会長なんて、ありえない…」

「有川会長にそっくりだと思っていたんですが…」
「そうだねぇ。意外なところで違い発覚だね。」

くすくすと笑う役員たち。やはり、この組み合わせはこれでバランスが取れているのだ。

「止めなくて、大丈夫ですか?」
「あ、それ俺たちの仕事じゃないから。」
東の役員が不安そうに言えば、西の役員がにこやかに一点を指差した。

「先輩、兄さん。そろそろやめてください。他の人たちに迷惑だしょう。それに、その着物、借り物なんですから。汚したら大変ですよ。」
「「了解」」

「………おみごと…」
「あれは、同じだよな。」
「あ、そっちも?」
「そうそう」

「『譲(子)』の一声」
生徒会を動かす、天の声であった。



written by sou

イラスト sava  文 sava & 総  2006.10.03
ご褒美 いつもより長い理由 加筆訂正