笑顔の素敵なウェイター



「臣くーん、こっち注文お願い〜」
「将くんの今日のお勧めは何?」

今日も女性客でいっぱいで大忙しのカフェfar awey。
彼女達のお目当ては豊富な品揃えのお茶や美味しいスィーツももちろんの事
それにもまして男前のウェイター達。

「何だぁ今日は。やけに名前を呼ばれるな・・・」
「それにしては妙に新顔の客が多いようだよな」
「ああ、それはきっとうちの店が雑誌に載ったからだよ、ほら、これ」

白龍がお洒落な女性雑誌を将臣達に渡す。

「何だこれ・・・『イケメンウェイターのいるカフェぇ?』
 いつの間に俺達の写真撮ったんだ、無断掲載すんなよ」
「『将&臣くん、ぶっきらぼうだけど笑顔が素敵』だと?ほっとけっつーの・・・おいっ!白龍っ!」
「私達の店が雑誌に載るなんてすごい事だよ。それにお客様が増えてくれてうれしいよね」

にっこり微笑む白龍。がっくりする将臣ズ。

「将くん、臣くーん、こっち向いて〜」
店では相変わらず黄色い声が飛び交っている。

「ほらほら、うちの自慢のウェイター達、お客様がお呼びだぞ」

黒龍が将臣達の肩をぽんとたたきながら背後から現れた。

「オーナー・・・」
「やっぱり黒幕はアンタか」
「このご時世だからな。客寄せも必要だろう?なにせ君達のバイト代を払わないといけない事でもあるし」

にぃっこりと微笑む黒龍。そんな黒龍をうんざりと見返す将臣ズ。

「はいはい・・・わっかりましたよ」
ため息をつきながら将が言う。
「よしよし。将はいい子だな・・・臣は?」
「仕方ねえな。貰ってる分だけは働くさ」
「よしよし。うちの子達は物分りがよくて本当に助かるよ」

「「ただし!」」

びし、と黒龍に指をつきつける2人。

「俺達をネタにするのはこれで最後にしてくれよ」
「はいはい」
「それと、俺達流でやらせてもらうからな」
「いつも君達流だろう・・・今更どうこう言いませんよ」
「「オーケイ!その言葉忘れんなよ」」

「臣くん、コーヒーのお代わりお願い」
「俺は将だっつの。臣がよけりゃあっちだぜ」
「将くーん。今度デートしてよ」
「ああ。俺と将の見分けがつくようになったらな」
「えっ、ええっと・・・」
「俺は臣、あっちが将だ」

「相変わらずだな・・・」
「あ、将わざと自分じゃないフリしてる」
「臣もだな。でもまあ、これはこれで・・・」

「「じゃあ、見分けがつくまで通うね!!」」

「・・・集客率アップに見事に貢献してるから、よし!」

「「どうしてそうなるんだよ・・・」」
頭を抱える将臣ズ。

イケメンウェイターのいるカフェ「far awey」
当分女性客が途絶える事はなさそうです。





written by sava





 スマイル ○○円



今日も今日とて勤労青年。
学校帰りに駅前のcafeでバイトにいそしむ。
テーブルを拭いていたら、後ろで相方の声がした。

「え〜っと、臣くん?」
「はっずれ。俺は将」
「え〜?うそぉ。」
「うそ言ってどうすんだよ。で、ご注文は?」



「嘘ついてんじゃねぇよ。」
奥に戻った臣の頭をはたけば、心底嫌そうな臣の顔。
「めんどくせぇんだよ、あの手の女は。てめぇだって、やってるだろうが。」
「あ〜分かるけどな。」
あの、必要以上に甘ったるい媚びたような声。聞いていてうざい。
塗りたくった化粧は、ケバイを通り越して毒々しい。
伸びきった爪にくっついている石。あれがおしゃれなんだろうが、
俺には凶器にしかみえねぇ。
自分たちの妹と違いすぎる。
すっぴんでいろとはいわねぇが、素材を殺しちゃ、意味がねぇだろ?



このカフェは、時給が良いのと、自宅から、高校からの距離が程よいのとでバイト募集をみて申し込んだ。
臣まで同じバイト先だったとは驚いたが、雇う側も二人だと思っていなかったのだからお笑いだ。
履歴書を見ても、なんで2通もあるんだろう?位にしかおもわず、慎重派なオーナーは、電話と郵送の二通りで採用通知を送った。俺には電話、臣には郵送で、二人共に連絡をしてしまったそうだ。

「俺らが二人、初顔合わせのときのオーナーの顔、忘れられねぇ。」
「でもって、面白い!の一言で、二人ともそのまま雇っちまうんだから太っ腹だよなぁ。ここ、時給高いのに。」

父方(有川)の血を色濃く継いだ俺たちは、容姿の違いといえば、ほぼ無い。臣が少し伸びた髪を束ねているくらいのものだ。
性格も似ていて、従兄弟というよりむしろ双子。いや、双子でもここまで似てはいないだろうというくらい。
間違えられるのは四六時中。混同されること多数。見分けがつくヤツの方が珍しい。
性格はよくおおらかとも大雑把ともいわれるが、仕事はきっちりこなす主義だ。

おかげでオーナーたちには好評だが、余計なところにまで好評になった。
女性に人気のカフェだなどと、知らなかったのが後の祭り。
俺たちを逆ナンがてらにくる女共が現れたおかげで、余計な仕事が増える。
一番の原因は、オーナー達の策略だが。

「スマイル1万くらいの値段で、メニューに乗っけてやりてぇ。」
「おまえ、ぼったくりだぞ、それ。ここはカフェなんだから。せめて千円だろ?」

臣がぼやくので、俺が突っ込んだ。
こっちは妥当な値段だと思うがな。
マジ、オーナーにでも相談してやろうか。





written by sou



イラスト sava  文 sava & 総 2006.12.01&09.15日記
バイト将臣ズ 将臣たち 加筆修正