クリスマスパーティー
「メリークリスマス!」
「乾杯!」
カチン、カチン、とあちこちからグラスを合わせる音が響く。
「ゆずちゃん、メリークリスマス」
のぞむは譲を抱き寄せ、ちゅ、と頬にキスをする。
そんなのぞむを見てのぞみが呆れ顔で思った。
(…のぞむ君にはkissingballなんか必要ないんじゃないかなぁ)
「?先輩、どうかしましたか?」
「いや、相変わらずだなって思って」
のぞみの視線の先に目をやり、譲子はああ、と納得する。
「そういえばさっき、のぞむ兄さんに変な事言われました」
「変な事?」
「ええ。私にクリスマスプレゼントをくれるって言うんですけど…」
「うん?」
「あの丸いリースの下に先輩と一緒に行けば先輩がくれるから、無理やりにでも連れて行けって」
ぶは
今日も今日とてシャンパンを噴出すのぞみ。
「先輩っ、大丈夫ですか!?お水もらってきますね」
「ご、ごめ…げほげほっ」
ぱたぱたと譲子はカウンターの方へと走っていく。
(の、のぞむくん…)
のぞみが赤い顔でのぞむを睨みつければ、涼しい顔でピースサインを返してくる。
(ボクにどうしろっていうんだ。将臣君だって一緒にいるんだぞ!)
「先輩、はい、お水です」
譲子が水を持って帰ってきた。
今日の譲子は春日(西家)母の策略によりサンタの紛装をしている。
いつも結っている髪もふわふわとほどかれ、非常に可愛らしい姿なのだ。
「あ、ありがとう」
のぞみは平常心平常心と心の中で呟きながら、
極力譲子と目を合わせないように水を受け取り、飲み干した。
「は〜」
「大丈夫ですか?」
気遣うように譲子がのぞみの顔を見上げる。
ばちっ、と目が、合ってしまう。
「う…うん。だいじょう、ぶ…」
(じゃない!かわいすぎるよ、譲子ちゃん…)
やばいことは心の中でだけ言うのぞみ。
「本当に大丈夫ですか?まだ顔が赤いみたいですよ」
「ええと…シャンパンに酔った…かな…」
「えっ!?あれくらいで、先輩が?」
「う゛」
こう見えて意外にも望は酒に強い。いくら飲んでも顔も態度も全く変わらない。
アイツに飲ませても面白くねえ、とは兄の将臣の言葉だ。
「ええ〜っ、ボクだって酔うよ」
「見たことありません」
きっぱりと譲子が言う。
つか、こら、飲むな高校生。(笑)
「譲子ちゃん、ひどい」
くすん、と泣きまねをしてみせるのぞみに譲子がくす、と笑う。
「ええと?去年のクリスマスではワイン何本空けましたっけ?
ああ正月には兄さんと2人でいただき物の日本酒全部飲んじゃいましたよね。
それからお盆にはビールを山ほど、文化祭の打ち上げの時にはええと…」
指折り数えだす譲子にのぞみが苦笑する。
「分かったよ。ごめん、どうせボクは大酒のみです。という事でお代わりください」
空になったグラスを差し出すのぞみに譲子がころころと笑う。
「やっぱり。そう思いました。でもちゃんと食事もしてください。
ほら、すごいですよターキーも、ケーキも沢山ありますから。
…でもほっとくと兄さん達に全部食べられてしまいそうだな」
見ればテーブルに山と置かれた料理を将臣や景時が美味しそうにぱくぱくと食べている。
「あはは。じゃあ、ボク達も負けずに食べてこようか」
「はい」
にこっと笑う譲子にのぞみも微笑み返す。
今日こうして一緒にいられるだけで。
「…感謝、だな」
「え?」
「どこにいるかわからないけど、神様にね。いつも願いをいうばかりじゃなくて
ただ、感謝してもいいなって思って」
「ああ…クリスマスって、誕生日でしたね」
「うん、ありがとう、だな」
「あと、おつかれさま?」
「そうそう」
メリークリスマス。
ただ、一緒にいられるだけで。
written by sava
イラスト & 文 sava 2006.12.25・27日記
メリークリスマス クリスマスパーティー 加筆修正