赤毛のサンタクロース



クリスマスパーティの最中、ふいにのぞみが外に出た。
ちょうど景時が得意の手品で鳩など出して盛り上がっている最中だったので誰も特には気に留めなかった。
「…ヒノエくん?」
「…よ」
「ああ、やっぱり。似た人がいるなって思ったんだ」
「ちょっと近くまで来たから、な」

ヒノエの言葉に、くす、とのぞみが笑う。

「嘘ばっかり。入っていけば?譲子ちゃんに会いに来たんでしょ?」
「いや、邪魔するのも悪いしな。…楽しそうだな」

外から見る店の中は明るく、中で笑う譲子の姿がよく見える。

「何だかこういう童話あったよな。クリスマスの精霊とかマッチ売りの少女とか。…自分は見てるだけで中に入れない」
「珍しく弱気だね。ヒノエくんなら遠慮する事ないでしょ。景時さんもいるんだから」
「いや…やっぱオレは帰るよ」
「ヒノエくん」
「お前の能天気な面みたら気がそげた。まったくお前って余裕があるんだか莫迦なのかわからねえよな」
「ふふ、たぶん後者、かな」
「あーあ。それならこれ、頼むか」

ぽい、とヒノエがのぞみに小さな包みを渡す。

「うーん、ボク、君からプレゼントをもらう理由はないなあ」

くす、とプレゼントを受け取ったのぞみが笑って言う。

「莫迦。野郎になんか誰がやるか。たく、わかてて言うんだから性質悪いよな」
「…渡しておくよ」
「やっぱり莫迦だな」
「…よく言われる」

肩をすくめてのぞみが笑う。
ヒノエもにや、と笑う。

「じゃあ、行くか。他の姫君達を待たせてあるんでね。…メリークリスマス」
「メリークリスマス、ヒノエくん。君にも神様の祝福がありますように」

けっ、と笑ってヒノエは去っていった。
のぞみはそんなヒノエの後姿を見送ると店のドアを開けた。

小さなプレゼントの包みを、少し重く感じながら。





written by sava



イラスト & 文 sava 2006.12.31日記
ヒノエくん? 加筆修正