彼の恋愛相談
実際、いろいろ考えてはいた。
そういうことに詳しくないとはいえ、これでも諜報の仕事もしたことがあるのだから、一般常識くらいは知っていた。
「どのようにするかは知っている。だが、私と麗慶にそれが合うかというと、謎だ。」
「なんで俺に言うんだよ。」
あきれ果てた顔をしているのは、のぞむ。
三十も半ばの男が、高校生に恋愛相談しているのだから、呆れないほうがおかしいのかもしれないが
本日は東西写真部合同、日帰り撮影旅行に来ていた。
顧問のほかにアドバイザーとして来ているリズヴァーンが、のぞむと二人になったときに話を始めたのだ。
ベンチに座って、リズヴァーンがのぞむを見る。
「お前ならば、どうする?」
「誰が教えてやるか。」
けっと悪態を吐くのぞむを、リズヴァーンが怒らせたのか?と不思議そうに見た。
のぞむは短気に見えるが、それほどではないと知っている。
これくらい、軽くいなすだろうと思ったのだが。
リズヴァーンが疑問に思っていると、カメラを弄りながら、のぞむが言った。
「俺の言葉は譲ちゃんだけのものだ。同じように、あの女帝が欲しいのも、あんたの言葉だけだろう。」
そのあと、いや…と呟いて、のぞむが言葉を継いだ。
「違うな。あんたが、麗慶に与えたいんだ。そうだろう?リズ先生。」
「のぞむ…」
軽く瞠目して、リズヴァーンが呟く。それを横目で見ながら、望むが続ける。
「何があんたの言葉を止めているかしらないが、そのまま伝えればいい。
まさか、断られるのが怖いとか言うわけじゃ、ないだろ?」
「ああ……怖いとすれば、それで彼女が傷つくことだけだ。」
「それは、侮辱だろう。」
前を見たまま言い切るのぞむを、リズヴァーンが見つめた。
大体、なんで惚れた男にプロポーズされて、傷つくんだよ、と思いながら、のぞむが言う。
「それで真実から目を背ける女じゃないぞ。あいまいに誤魔化すほうが、痛い。
それに…その程度で傷つく女でもない。あんたの…弟子だろう。」
てか、あんたは麗慶を甘やかしすぎだ、とのぞむが愚痴る。
「あの女帝が欲しいのは、あんたの言葉だけだ。あんたのやり方でなきゃ、意味が無い。」
「そうか…」
「ああ。」
ありがとう、と呟いて、リズヴァーンが立ち上がった。
リズヴァーンが他の生徒の指導へ向かうのを見送り、のぞむは空を仰いだ。
「柄じゃねぇっての。」
上手くいった暁には、このことでからかってやろうとのぞむは思った。
written by sou
イラスト sava 文 総
2007.05.28-29日記 彼の恋愛相談 リズせんせいがんばれ 加筆修正