春日会長誕生秘話

新入生が入学して間もない季節。
青龍学園西高等学校では生徒会選挙が行われる。
どういうわけか、今年の会長候補は推薦のみのうえ、対立候補なしだった。
「春日〜、頼むよ。お前しか居ないんだ!」
「やなこった。そんな面倒なことできるか。」
両手を合わせて拝み倒す執行部の面々に、のぞむはにべもなく言った。
「面倒ごとは俺らがやるからさ。お前は仕切ってくれればいいんだよ。」
「それが面倒だっていってんだろうが。」
嫌そうに、のぞむが言う。
そこへ、渡り廊下を通っていた譲が現れた。
「先輩?どうしたんですか?」
「ああ、譲ちゃん。なんでもないよ。」
譲にとろけるような笑顔をみせるのぞむ。
「そういえば、先輩、生徒会長に推薦されてるそうですね。」
すごいなぁと目を輝かせる譲。
のぞむはうっと言葉を詰まらせるが、執行部役員はその言葉に飛びついた。
「有川もそう思うよな。春日は会長にふさわしいだろ?」
「はい。先輩はとても頼りになるから…」
頬を染めて誇らしげに言う譲に、のぞむが陥落した。
「あ、次移動教室なんです。失礼します。」
譲が立ち去ると、のぞむが執行部の人間を振り返った。
「面倒ごとは、てめぇらで片付けろよ。」
のぞむが会長を引き受けたことを喜ぶよりも、目の前のにじみでるドス黒いオーラに怯える生徒会執行部であった。

それでも、困ったことに、彼よりも会長にふさわしい人物が居ないのだ。



        文 総  06.9.28日記文 加筆修正