お大事に!
「ごほっ!げほ、っ」
「っくしゅっ!」
「大丈夫?2人とも。今、お粥作るから、待ってて」
がさがさとスーパーの袋を抱えてのぞみが有川家にやってきた。
「・・・またお前のまずい粥を食うのか」
「く。くしゅんっ。す、すみません先輩、私まだ台所に立てなくて・・・」
有川家のリビングでは毛布でぐるぐる巻きの将臣と譲子がのぞみを待ち構えていた。
「ご、ごめんね2人とも。でも今日はレトルトのお粥買って来たから、温めるだけだから・・・」
将臣と譲子は経口感染でのぞみから風邪をもらってしまったようです。
で、お約束どおりうつした側ののぞみの風邪は治ってしまいました。
「くそ〜、性質悪い奴からもらっちまったから、風邪まで性質悪ぃぜ・・・」
ぶしゅっ、と鼻をかみながら将臣が言う。
「ご、ごめん・・・」
将臣から受け取ったティッシュをゴミ箱に捨てながらのぞみが謝る。
「今年の風邪は熱に来るんですね・・・これじゃ先輩が朦朧としてたのも分かります」
おでこに冷却シートを貼ったままの譲子が言う。
「ご、ごめん・・・」
譲子の乾いてしまった冷却シートを取り替えながらのぞみが謝る。
謝るしかないのぞみ(笑)
のぞみはいたたまれなくて台所でお粥(レトルト)を温めはじめた。
「できたよ〜。食べて」
温まったお粥を器に入れてリビングに戻ってくると2人はソファに横たわったまま目を閉じていた。
「・・・」
「将臣君?」
「・・・」
「譲子ちゃん?」
のぞみの呼びかけに答えない。
「あれ?2人とも・・・寝ちゃったのかな。おーい、駄目だよこんな所で寝たら」
「「・・・キスしてくれたらおきる〜〜」」
「もうっ2人とも!!ごめんって言ってるでしょ!!あんまりからかうとまたキスするよ!」
「ははは・・・くしゅっ」
「ふふっ、・・・ごほっ」
「ほらほら、ふざけてないで、食べて、温かくして。水分は沢山摂らないとダメだよ。
ポカリ買ってきたからこまめに飲んでね。あと、汗はかいてない?大丈夫?着替えは用意してあるのかな・・・」
てきぱきと看病するのぞみを見ながら将臣が譲子に言う。
「からかうとキスしてくれるらしいぜ。して欲しいときはからかえ」
「兄さん・・・」
将臣を上目使いで睨む譲子。
「ん?はは、また熱上がったんじゃねえの、譲子」
「ええっ、大丈夫?」
将臣の言葉にのぞみがあわてて譲子の額に手を当てる。
「うーん、冷却シート貼ってるからよくわかんないや。でも顔が赤いなあ。体温計持ってこようか」
「だ、だいじょうぶ・・・です」
「ほんとに・・・ごめんね?うつすつもりじゃなかったんだけど」
「そんなにあやまらなくても、い、いいです、よ・・・」
「え?」
譲子の声は小さくてのぞみには聞こえなかったようだ。
「ははは」
「?将臣君??」
「・・・譲子はな、風邪もらってもいいから、またお前とキスしたいんだと」
「兄さん!」
「・・・将臣君!」
「俺はもうごめんだがな・・・くしゅっ!」
「ほら、将臣君、食べ終わったならお薬飲んで。もう部屋に戻って休んだ方がいいよ」
「一日中部屋に居て飽きてんだよ。もう少しここにいさせろよ」
「もう、しょうがないなあ。・・・譲子ちゃんは?」
「私も、もう少しだけ・・・」
「しょうがないなあ2人とも。もう少しだけだからね?」
「「はーい」」
「おばさん達が帰ってくるまで、ボクはここにいるから、ね?」
「・・・ああ」
「はい・・・」
君がいてくれるだけで、暖かくなる、安心する。
何よりの薬なのかもしれない。
written by sava
イラスト & 文 sava 2006.11.24日記
お大事に! 加筆修正
楽園とっぷ