アンティークショップ 陰陽 (yin-yang)



景時の経営するアンティークショップ「陰陽(Yin-Yang)」
街のほぼ中心部にあるのになかなか辿り着けない不思議なお店。
たまたま立ち寄ることができる人もいるし何度足を運んでも見つけられない人もいる。
そして何回か行くことに成功しても、店の間取りも広さも毎回変わっていて把握できないという謎のお店。

カラン

「こんにちは〜」
「あれっ、のぞみ君久しぶり〜」

のぞみはこの店の常連らしいです。

「よ」
「あれ、ヒノエ君も来てたの?偶然だね」

なんとヒノエもこの店の常連&のぞみと顔見知りらしいです。

「のぞみ君、来てくれてちょうどよかったよ。この間の注文の品届いてるよ」
「あ、ほんと?よかった。寄ってみて」

景時が紙包みをがさごそと開いて中から綺麗な装飾の髪飾りを差し出した。

「うわぁ・・・かわいい。それに写真で見たよりずっと綺麗ですね」
「でしょ〜。状態もすごく良くってね、掘り出し物だよ〜」
「へぇいい品だね、いいじゃん。・・・お前が使うの?」
「まさか。ボクじゃないって。これはちょっと、その」
「女へのプレゼントか。やるじゃん、のぞみ」

赤くなりながらそそくさと代金を支払うのぞみをヒノエは面白そうに見ていた。

「でも、お前に釣り合う女なんているのか?」
「何言ってるのヒノエ君、そんなこと・・・」
「あるね。俺はお前が女だったら即お申し込みする所だよ。そんじょそこらの姫君じゃお前の花の顔に敵わないよ」
「・・・ほめてないから、それ」

ヒノエの言葉にがっくりくるのぞみ。

「まあ、気にするなよ。で、どんな姫君なんだい?お前の心を射止めた女は」

「・・・世界で一番可愛い娘だよ」

「ぴゅー、言うねえ」
「のぞみくん〜。かっこいいなあ〜。上手くいったら今度うちの店にも連れてきてよ!」

盛り上がる2人に苦笑しながらのぞみは言葉をついだ。
「これはボクの大事な妹に」
「妹!?」
「へぇ、お前妹なんかいたんだ」
「・・・うん。とっても大事な妹」
「ああ〜分かるなあ。妹ってかわいいよね〜!」
「あれっ?景時さんにももしかして」
「そう、コイツの妹すっごい美人だぜ。自慢の妹、だろ?」
「ははは。まあね〜。いっつも怒らせてばかりだけど」
「ああ、何だか女の子って怒りますよね。急に」
「そうそう、いきなりね」
「でもお前の妹ってことは・・・ふぅん、いいじゃん、オレにも紹介しろよ」

「駄目!!」

のぞみの剣幕に一瞬ヒノエが固まる。

「あ、ごめん。いや、その・・・」

「のぞみ」

じろりとヒノエがのぞみを睨む。

「な、何?」
「・・・ほんっとうに妹か?」
「・・・」
「え?のぞみ?オレはそういうことには聡いんだよ。白状しろ」
「う」
「の、ぞ、み?」
「・・・隣の家の幼馴染・・・」
「やっぱりな」
「でっ、でも妹なんだよ。ずっと一緒に育ってきたし、その」
「一番悪質なパターン、だな」

ぴしゃり、とヒノエが言い放つ。

「う」
「まあ、がんばれよ。ここの店の品物なら保証付。上手くいくって」
「いや、そういう目的で渡すわけじゃないし、たまたま似合いそうだなって思ってそれで」
しどろもどろと弁解するのぞみの肩をヒノエがぽんぽんと叩く。

「ま、オレも人の恋路をどうこういうほど野暮じゃないけどな、頑張れよのぞみ」
「まあまあ〜ヒノエ君。そういうヒノエ君だってなんだか上手くいかない娘がいるってぼやいてたんじゃないかな〜」
「うるさい、景時はだまってろよ」
「あれ?ヒノエ君でも振られることがあるんだ?」
「まだ振られてないっつの!友達ならなってもいいって言われただけだっての」
「・・・それはやんわりとした拒絶じゃないのかなぁ」
「いいんだよ!オレがその娘を気に入ってるんだから」
ふうっとヒノエがため息を吐く。
「ま、お互い頑張ろうってことだな」
「・・・そういうこと?」
「そういうこと!」

そんな2人のやりとりを景時はにこにこと眺めていた。
(ヒノエ君って普段大人びてるけどこういう会話してる時は年相応だよね。この2人仲いいなあ。これからもこういう関係だといいけど)

そんな景時の思いは叶うかどうか。



written by sava






譲子の家に遊びにきた譲は、不思議そうに譲子に言った。
「譲子、珍しいな。三つ編みしてないなんて」
「別に、たまにはいいだろ」
いつもきっちりと編まれた三つ編みは、ゆるやかなウェーブをえがいている。
耳の上には、可愛らしい花の枝の形のピン。淡いピンク色の花が、譲子の緑の髪によく似合う。
「ふーん、のぞみくん、趣味がいいね。そのピン、譲子の髪によく映える」
「なっ…んで!」
自分のことは激鈍のくせにっ!と譲子があせる。
「いーなー、譲子の髪ふわふわv かわいいv」
そっと譲子の髪をてにとる譲。
「ゆずちゃんの髪も、さらさらだよv ほら」
行き成り後ろから現れ、のぞむが譲のしっぽをくるりと丸めて朱塗りの簪をさした。
「せ、先輩!?」
「ん、綺麗v」
のぞむは満足そうに笑った。
そのまま抱きしめれば、真っ赤になる譲。またやってると呆れる譲子。
のぞみに先をこされたようでちょっとご機嫌ななめだったのぞむは、譲に抱きついて心の傷を癒すのだった。






written by sou

イラスト&本文 sava  おまけ文 総  2006.09.21日記 加筆修正