朱雀女学院
明治36年創立の名門女子校。今年より制服をリニューアル。
「ふふっ、今日も可愛いね。」
「…ヒノト…。」
年下の幼馴染の物言いに、敦美は深いため息を漏らした。
この町で一番古い歴史を誇る神社の家系。
千年の昔には、この町一帯を治めていたという。
いまでも、それ相応の力と人脈を持つ神社の跡取り娘は、どういうわけか女好きだった。
女好きと言う言い方は語弊があるかもしれないが、とにかく女性に対して、やたら甘い言葉を投げかけるのだ。
その上、困ったことに、それが似合ってしまう。
おかげで女生徒たちはヒノトの一挙一動に、それこそ一喜一憂する始末。
「…ヒノト。君がわが道を迷わず進むことは知っているが、自分の趣味でないからと、制服までリニューアルさせるのはどうかとおもうのだが。」
「いやだな、敦姫。まるで私が強要したみたいじゃないか。」
ヒノトがにこりと笑う。
「選択肢は多いほうがいいだろう?一応今年の新入生からこの制服だが、希望者は今のセーラー服でも可なのだから。」
くすくすと笑うヒノトに、敦美は再びため息をもらした。
この朱雀女学院は、明治に創立した神道系の珍しい学校だ。
もちろん、バックにはこの町一番の神社がついている。
理事長以上の権限を持つ、その家の娘の発言を、拒めるとでも思っているのだろうか。
「いまどき、デザイナーズブランドの制服は当たり前だろ?」
「この学園の制服自体がブランドだと、誰かが言っていたが?」
敦美が言えば、ヒノトが目を見開く。
「なんだ?」
「いや、敦美がそんな言葉を言うとは思わなかったから…」
「私が言ったわけではない。話で聞いただけだ。」
「だろうな…。」
ヒノトが苦笑した。
「ま、だから希望のほうを選べるようにしたんだよ。そのほうが、楽しいだろ?」
「…それはわかった。だが、分からないのは…なぜ、ヒノトの制服だけ、パンツなんだ!?他の生徒は、膝上丈のスカートだろう?」
「似合うからv」
特注だぜ、というヒノトに、敦美が頭を抱えた。
この美少年のような美少女に振り回されているのは、生徒だけではないようだ。
「そんな顔をするなよ。このおかげで、今年の入学希望者数は、前年比50%増だったんだから。」
にやりと笑うヒノト。
(…才は、ある。それは認めるが…)
敦美は複雑な顔でため息を漏らした。
朱雀女学院では、歴史と伝統美溢れるセーラー服とKASUGAデザインの機能的かつ愛らしいブレザータイプの制服が貴女の学園生活を彩ります。
西の春日家
「…かあさん…なんでそんなに機嫌がいいんだよ…」
「ふふふふふvいいモデルちゃんを見つけたのよvインスピレーションの泉が沸き立つわ〜♪」
「…沸騰させてどうするのさ…」
いつにもましてハイテンションな母に、のぞむが引いていた。
written by sou
イラスト sava 文 総 2006.10.06
朱雀女学院 BRAND KASUGA 加筆訂正