心の温度

深々と雪が降り始めた。
一人噴水の前にいた譲子は、そっとストールをかき合わせる。
寂しいな…
譲子は、そんな言葉が頭に浮かんだ自分に驚いた。
考えてみれば、こんな風に一人でいたことなど無かった。
いつもは兄や先輩。そうでなければ譲や兄代わりの従兄たち。
誰かしらが一緒にいた。
一人で何かをすること自体は珍しくは無いのだけれど。
一人でこんな風にひっそりとした場所にいるのは初めてだ。
町の喧騒が遠く聞こえる。
寒い…
しっかりと防寒してきたはずなのに、譲子は小さく震えた。
目じりに浮かんだ雫が、頬に振りかかった雪と共に流れ落ちた。

「譲子、お待たせ!」
最初にかけてきたのは譲だ。
赤い顔で譲に抱きつく。
「ごめん、思ったより時間が掛かっちゃった。」
笑顔で告げたのはのぞみ。
「お前、ほっぺた真っ赤だぞ。大丈夫か?」
ガシガシと頭をまでる将。
「譲ちゃん、そんな格好じゃひえるよ。」
譲子に抱きついていた譲を、自分のほうへ抱き寄せるのぞむ。
「てめえもな。おら、さっさとまけよ。」
今にも首を絞めかねない勢いで、のぞむの首にマフラーをまく臣。
譲子の首にも、のぞみや将臣にも、同じマフラーが巻かれている。
一気に騒がしくなった音。
そして、急速に温かくなる、体と心。
深々と降る雪は変わらないのに
あれほど静かで寒かった白い世界が、瞬く間に色づいていく。
きょろりと周りを見渡せば、譲と目が合った。
同じことを考えていたわけでもないのに、二人頬を染めて微笑み合う。
「「あったかいね。」」
written by sou
イラスト sava 文 総 2007.01.18.19.21日記
心の温度 加筆修正