親戚一同勢ぞろい 



「ほら、写真とるわよ〜。」
 のぞむ母の声に、皆が前を向く。
 だが、毎度毎度マイペースなのぞむは、いつもどおり譲に何事かささやいて、頬を寄せた。



「その髪飾り、似合うね。」
「そうですか?」
「ん。ゆずちゃんは髪を伸ばさないのかい?」
「長いと、手入れが大変だから…。後ろだけでも、結構…」
「今の髪型も、活動的でかわいいけどね♪」
「ありがとうございます。」
 ちゅ、と譲の頬にキスすれば、綺麗に染まる譲の頬。のぞむにとっての初茜。



「ったく、なんで有川家の集まりにのぞむがくるんだよ。」
「そういうなって。どうせ親戚になるだろ。」
「将…」
「言ったのは、おばさんだぜ。」
 将がひょいと指差したのは、己の母親。
「………ムカツク。」
 両家公認なのは知っているが、こうもあからさまに協力されるのも腹が立つ。
 親にしてみれば、見知らぬ馬の骨よりも、お隣で、一応品行方正で通っているのぞむのほうが良いのだろうが。
 かわいい妹を取られる兄としては、複雑な心境だった。



「今年も相変わらずですね。」
「そうだね。」
「先輩、着物似合いますね。」
「譲子ちゃんこそ、その着物、すっごくかわいい。」
「そ、そうですか?譲とおそろいなんです。春日の…のぞむ兄さんの叔母さんが用意してくれて…」
「そっかー。叔母さん、本当に趣味がいいよね。さすがデザイナーっていうか
譲子ちゃんに似合うものをよく知ってる。…僕も見習わなきゃ。」
「え?」
「なんでもない。ほら、叔母さんが呼んでるよ。」



「ほら、いい顔して、こっち向いて。のぞむっ!それは写真撮ってからやりなさい!」
「そうよ、のぞむくん。やることはさっさと終わらせて、ゆっくりしたほうがいいでしょう。」
 譲の耳に唇を寄せていたのぞむに、母たちが言う。
 って、写真とってからならいいんですか、母一同!


「あいかわらずだねぇのぞむくんは。」
 臣の父が笑う。
「うちの子もアレくらい積極的だったら、譲子ちゃんが嫁にくるのも早いだろうに。」
 のぞみの父がぼやけば、のぞむの父がちちち、と指を振った。
「あまいな。アレでのぞむは晩生なんだ。現に、まだ婚約も出来ていないだろう?」
「おや、意外だね。」
 不思議そうに言ったのは将の父。
「本命にしり込みするタイプだな。」
 のぞむの父が笑うと、譲の母が頬に手を添えて溜め息を漏らした。
「譲が鈍すぎるのも原因でしょうね。」
「その点は譲子も似たようなものね。ホント変なとこ似てるわよね。あの子達。」
 譲子の母も肩をすくめた。
「あと何年、こんな写真が撮れるかねぇ。」
 父親たちが子供たちを眺めていえば、母親たちがにこやかに笑った。
「あら、きっと何年たっても撮れますよ。」
「そうそう。ただ人数が増えるだけで。」

「は〜い、いくわよ〜!」

  カシャッ









イラスト sava  文 総 2007.01.01日記
親戚一同勢ぞろい 加筆修正