長い夜
「先輩、ありがとうございました」
「うん。じゃあ、また明日」
無事有川家まで譲子を送り届けたのぞみ。
「あっ、待って下さい、よければ上がっていってお茶でも飲んでいってください」
「・・・今日はやめておくよ」
「そうですか?」
「うん。今日は母さんが準夜勤でボクが食事当番なんだ。だから早く帰って支度しないといけないから」
「叔母さんも忙しそうですね。看護師さんも大変だな・・・」
「でも母さんには合ってると思うけどね」
「そうですね」
「じゃあ、ね。譲子ちゃん」
「はい・・・おやすみなさい」
ばたん。有川家のドアが閉まる。
「は、はあああああ」
譲子の姿が見えなくなると同時にその場に崩れ落ちるのぞみ。
「な、なんとか、もった・・・」
2人で帰る帰り道。
いつもと同じ町並みをいつもと同じ人と歩く。
違うのは繋がれた・・・手。
眼鏡がないと見えにくくて危ないから、と理由をこじつけて。
家までの距離が近すぎて遠すぎて、何を話したらいいのかわからなくて。
「譲子ちゃんの手、小さかった、な・・・」
それは幼馴染として過ごした時間がもう終わりを告げようとしている、という事。
自分は男で、彼女は女で。
自分の中の昏い欲望。
「いくら名前がのぞみでも・・・これはちょっと、な」
今日は眠れそうになかった。
written by sava
イラスト & 文 sava 2006.11.15日記
長い夜 加筆修正