従兄弟の日常





左:有川譲子 通称ゆず(る)こ

  東町在住

  外見ふわふわ 内面きりり  




右:有川譲  通称ゆず

  西町在住

  外見きりり 内面ふわふわ

今日は従従姉妹の譲と待ち合わせ。父方の従姉妹であり、母方の従姉妹でもある。父さんたちが兄弟で、母さんたちが双子なんだ。
私が東町に、譲が西町に住んでいるから親戚たちは、東の譲子、西の譲と呼んでいる。
駅の東西に分かれて住んでいるから、小学校から学区も違うし、高校の友達たちも、お互いの存在をあまりしらない。
私の母さんと有川の父さんは連れ子同士の再婚だから、譲とはそれほど似て無くてもぜんぜんおかしくないのに、どういうわけか二人そろって母親似。
おかげで顔立ちはそっくりだ。髪質と髪型が違うのと、性格が違うから、それなりに区別はつくみたいだけど。
「譲子〜!」
遠くから駆けてくる譲を見つけ、文句を言う。もう30分もまってるんだから。
「ゆず、遅い!」
「ごめんごめん。部活のミーティングが行き成り入ってさ」
譲も私も弓道部。今日は二人とも部活がないから、一緒に出掛けようということになった。
譲とのショッピングは久しぶり。
いつも先輩や兄さんとでかけるから。
先輩と一緒なのはうれしいけれど、たまには女の子同士の買い物をしたいんだよな。

『ねぇねぇ、みて、あのふたり。かわいい』
『だね。そっくりで、カッコ可愛いよねv』
『東高の子、ガーリッシュで可愛いよね。西高の制服の子はボーイッシュでかっこいいv』

あちこちから聞こえる声に、譲がため息をついた。
不思議に思って隣をみれば、じっと譲が私の顔を見つめる。
「ゆず?」
「いいなぁゆずこは。可愛くて」
「は!?」
私は少しだけ高い位置の譲の顔を、驚いて見つめた。
「髪だってふわふわで、女の子らしくてさぁ…。スタイルも良いし…。さすが、東高で嫁にしたい生徒No,1.だよなぁ。」
(西高で嫁にしたい生徒トップが何をぬかす)
いっても無駄だと分かっているので、何も言わない。
「ゆずの方が、細身できれいじゃないか」
譲は綺麗だ。凛とした雰囲気で、髪型のせいか少年的だけれど、とても綺麗。
「ガリなだけだろ?胸も腰もない。制服だと変なのがよってくるし、制服でないと、逆ナンされる。」
それって、綺麗だといわれているようなものなんだけどな。
なんで自覚が無いんだろう。
「いいじゃないか。望兄が嫁にしたいのはゆずなんだから」
「なっ…、そんなこと、あるわけないだろ!!」
「…ゆずって、すごいよな」
あれだけされててなんで分からないんだ?
譲は綺麗、そして可愛い。私と違って、中身もとても可愛いんだ。
あの、傍若無人、唯我独尊ののぞむ兄さんが溺愛するのも頷ける。
顔立ちと雰囲気はとても凛々しくて、そのくせのぞむ兄さんの隣りに立つととても可愛い。
恥ずかしがりやだから、のぞむ兄の極端なスキンシップにしょっちゅう赤くなってるけれど、その顔やしぐさがとても可愛いんだ。
…私には、真似できない。
「ゆず子の方こそ、のぞみくんと仲がいいじゃないか」
私の隣の家に住んでいる、私たちの従兄弟で幼馴染の先輩を指して、譲が言う。
先輩は優しいから、私のことを妹のように思って可愛がってくれているけれど。
「先輩、優しいからね」
「ゆず子だって、優しくて可愛いよ」
首をかしげてこちらを見る譲。
だから、そっちのほうが可愛いってば!


自分の鈍さを棚上げして、あきれる譲子であった。



イラスト sava  文 総   (2006.9.15日記 2006.10月加筆修正)










左:春日 望(のぞむ)

  西町在住

  傍若無人





右:春日 望(のぞみ)

  東町在住

  温和(へたれ)


「ゾミじゃん」
「望くん」
後ろから声を掛ければ、のぞみが振り向いた。
めずらしいこともあるものだ。
小腹がすいて、ファーストフード店に来てみれば、都市の東町に住む自分の従兄弟とばったり遭遇。
思わず、のぞみの両隣をみるが、いつもいる二人はいない。
いつも一緒にいる譲子は、今日は譲と待ち合わせ。
だが、もう一人は?
「将は?」
「バイト」
「へぇ、臣もだよ」
二人一緒にバイトとは、珍しいなといいつつ、二人で注文をして、席に着く。
父方(春日)の血を濃く継いだせいか、俺とこいつは顔立ちだけはよく似ていた。
もっとも性格が正反対だから、間違えられたことはほとんどないが。
「で?」
にやりと俺が問いかければ、のぞみが首を傾げる。…女みたいだと思ったのは、心の中に秘めておいてやろう。
「?」
「譲子とは、どうなったんだ?キスくらいしたか?」

ゴフッ

粘度の高いシェイクをストローで噴出すとは、ずいぶんと肺活量が高いんだな、のぞみ。
「な、なななななななな。」
「まだかよ。お前もいい加減とろいな。」
どもるのぞみに、俺が呆れていえば、のぞむが赤くなって怒鳴る。
「のぞむっ!」
「さっさとしないと、かっ攫われるぞ。」
「……」
「将に遠慮するのは、そりゃ失礼ってもんだ」
「…のぞむくんは、遠慮しなさすぎだとおもうよ」
(あれを、けらけらと笑って見ることのできる将臣くんの神経が、うらやましいよ)
のぞみが、臣と俺のいつものやりとり(バトル)を思い出したのか、深いため息を漏らした。
あれくらいやれなくて、ゆずちゃんを手に入れられるかよ。たく、情け無いヤツ。

まだ自分も手に入れていないくせに、のぞみに呆れるのぞむだった。



イラスト sava  文 総   (2006.9.15日記 2006.10月加筆修正)











左:有川 将臣

  西町在住(譲兄)





右:有川 将臣

  東町在住(譲子兄)
        性格共通    おおらか おおざっぱ

「なぁ、臣。おまえバイトどうする?」
久しぶりに二人でゲームをしていたら、将が問いかけてきた。
「あ〜、どっかいいとこねぇかな。(海に)もぐりにいくにも金がかかるからなぁ。将、しらね?」
「ばーか。あったら、俺がやってるっての」
「だよなぁ」
お互い苦笑がこぼれる。
「お、そこ右のほうがいいぜ」
「そうか?サンキュって、俺、どれを攻略するか言ったっけ?」
「みてりゃ分かる。その童顔巨乳ストレートだろ?」
「まーな。これって、譲子と譲を合わせたみたいだな」
「………やめてくれ」
想像しちまったじゃないか。と将がぼやく。
「じゃ、エンディング見るのやめるか?」
「それはそれ。これはこれ」
俺が言えば将がけらけらと笑う。
「お、満月いったぜ」
「ん?エンドなのに選択肢? っと」
「おお、すごいな臣。裏エンドじゃん」
恋愛シミュレーションゲーム『遙かなる異次元の中で』
異次元にすっ飛ばされた男が、魔神の化身として8人の巫女と共にその戦だらけの世界を制圧する。
要はギャルゲー。
裏エンドはなかなかお目にかかれないレアエンドだって聞いていたが。
「なるほど。結婚エンドの続きで新婚初夜エンドと」
「だからCERO Dなのか。発見発見」
「にしては、きわどくね?」
「そっか〜?ここまで隠れてたら、あとは想像の産物だろ?」
「いえてら」
けらけらと俺が笑えば、くつくつと将が笑う。
趣味は同じ、好みも似てる、それでも喧嘩にならないのは、この性格のせいだろうな。

自分もそっくりな性格の癖に、臣は将の大雑把な性格に感心した。



 イラスト sava  文 総  (2006.9.15日記 2006.10月加筆修正)