守り石
穏やかに笑う彼女を見つめる。
耳元には、俺がつけたサードニックスのピアス
清純、貞節、乙女の守り石
君のための宝石だと思ったから
ねぇ、知ってるかい?
その石がもつ もう一つの言葉
「夫婦の愛を守るそうだよ。」
俺たちもまもってくれるかな?
そうささやけば、白い肌に、石よりも赤い頬の君
「あれ?譲、ピアスあけてた?」
「あ、うん。」
譲がほんのりと顔を赤くした。それに、勘の良い譲子がにやりと笑う。
「望兄さんにあけてもらったんだ。」
「う…」
「そのピアスも?」
「うん。好きなピアスを通せるようになってるから。先輩が、わざわざ用意してくれていたんだ。その、お守にって。」
「赤…だけじゃないんだ。後ろのほうが白い…?」
「サードニックス、赤縞瑪瑙だよ。」
先輩とおそろいなんだ、と譲が恥ずかしそうに言う。
「望兄さんもこれ?」
「ううん、先輩は赤だけのカーネリアン。」
「ふーん。」
それにしても、サードニックスとは。珍しいなと譲子は思った。
望のことだ。譲の誕生石のルビーかとおもったのに。
自分とおそろいにするため?でもそれなら赤系にこだわる必要はないのに。
ああみえて、望は女性の好むことに詳しい。
譲は自分が女の子らしい扱いをうけると恥らって赤くなる。
そんな譲を見るのが、望は大好きなのだ。
自宅に帰った譲子は、ファッション誌をなんとなく見てみた。
宝石のページがあり、そこにサードニックスとカーネリアンも載っていた。
サードニックス〜純愛を見守る女神の貞節〜
− いつまでも夢見る気持ちと甘い関係を忘れない白いメノウと、忍耐強い赤いメノウのみごとな合体ゆえに、夫婦の愛を守るといわれている。
かたくなな心が開き、相手に対して友愛と信頼を抱いて、やがてそれが愛へとたかまってゆくのです。−
「………………わざと?」
カーネリアンに至っては、全ての願いをかなえる新鮮で温かな石ときた。
あの望が、宝石の力になんか頼るとは思えないけれど。
それでも自分と譲にこの石を選ぶあたり、意図がないとは思えなかった。
「ふ〜ん、逆効果になったりしてね。」
最後まで記事を読み終えて、譲子がくすりと笑った。
−赤縞メノウ 乙女は男性の情欲から身を守ることができる
俺が石ごときにまけるわけが無いだろ。 byのぞむ
イラスト sava 文 総 2006.09.21日記 加筆修正