常葉に咲く薄桜


ふわりとゆれる緑
飾られた小枝と
そこに散らばる薄紅色の花

優しい緑に抱きしめられるように
小さな花が揺れている

まるで君のようだね
そして僕のようだ

優しい君の色に
触れていたいと願う
僕の想いのようで

どんな形でも
どんなに小さくても

君の傍にありたいと願うよ






「花嫁の石かぁ。」
「…先輩のことだもの。きっと意味なんかないよ。」
譲がほぉっとため息をつけば、譲子が苦笑する。
けれど、どこか嬉しそうなのは隠せない。
「望兄さんなら、知ってそうだけどね。」
「そう…?まぁ先輩は博識だから。」
さらりとのろける譲に、譲子が再び苦笑した。
全ては譲を喜ばせるためなのだとは、のぞむに関してだけは鈍いこの従姉妹は理解していない。
「でも、綺麗だよね、これ。」
「そうでしょ。」
譲子が嬉しそうに笑う。
それをみて、譲も微笑んだ。
「こんな綺麗なものを譲子にくれるんだもん。のぞみくんだって譲子のことを想ってるよ。」
「そんな…こと。ただこの髪の色に映えるからって…」
「私も同じ髪の色だけど?」
譲がにやりと笑う。
「でも、私、のぞみくんにそんなのもらったことないよねぇ。」
「ゆずる〜。」
「髪飾りをみて、思いついたのが譲子だけってので、十分意味はあるとおもうけどな。」
赤くなる譲子に、譲はくすくすと笑った。





譲子は髪飾りをつけたまま、買い忘れたものを買いに出たら、ばったりとヒノエにであった。
「よぉ譲子…って、あれ?どうしたんだ?それ。」
いつもの三つ編みではなく、髪を下ろしている譲子。
耳の上に飾られた可愛らしい花飾りを指差して、ヒノエが不思議そうに言う。
「これ?…もらったんだ。」
ほんのりと頬を染めて嬉しそうに言う譲子に、ヒノエが顎に手をあてて考えんだ。
(あれってのぞみがかった…アンティークだから…一点ものだったよな。まさか…)
「世界で一番可愛い娘、か…」
「なんだよ、ヒノエ。また誰かを口説いてるのか?」
「あのなぁ、今はお前だけだっての。」
「どうだか。」
(のぞみがライバルかよ。…まぁ妹だなんてごまかしてるようなら、さっさともらっちまうかな。)









イラスト sava 文 総  2006.09.22-23 日記 加筆修正