満つる月

満ちる為に欠ける月

欠ける故に満ちる月

完全な形を求めて
繰り返し変わり続ける

人の目には 等しく映るとも
その有り様は まるで違う

ただ 満たされるために
どこまでも 歩き続けよう

自分の力で







「疲れた〜」
「はは、今日はお前のファンが多かったからな」
「ショートカットの、だろ。俺のじゃねぇよ」
将が毒づく。
「今度エクステつけてやろうか」
「あはは、オーナーズがどんな反応して見せるかな?」
「今なら、区別しちまうんじゃね?」
「あ〜、かもな。最近間違えねぇもんな。」
二人が、よく似た笑顔で笑う。
「いつも思うんだけどよ。なんで、あいつら、間違えたり混ざったりしねぇんだろ?」
「…さぁ?」
二人が言うのは互いの妹。誰より愛しい一つ年下の少女たち。
「俺らのことは互いに兄さん、将兄、臣兄だろ。そのうえあいつらのことはお互い先輩、のぞむ兄さん、のぞみくん。しょっちゅうしゃべってっけど、お互い会話していてごっちゃにならないのかね」
「電話とか、聞いてるほうが混乱するよな」
「そうそう。話しかけられれば間違えはしないけどよ。まぁ、のぞみたちはともかく、俺らのことはどっちにとっても兄だろうに」
「…ほんとうにな」
だからこそ、なお愛しい。
その形は異なれど。
「のぞみなんか、二人の会話を傍で聞いていて混乱していたぜ?」
「あ〜、その辺はあいつ要領悪いよな。のぞむは端から間違ねぇだろ?」
「そのくせ会話に加わったとたん、間違えねぇの」
「あはははは」
どれだけ救われたことか。
己を混同しないあの二人に。

満たされるために 歩き続ける
満たされたが故に 歩き始める

どこまでも 






イラスト sava 文 総 2006.09.23-24日記 加筆修正